GPD Pocket 3 - 性能に満足できるUMPC

2022年1月22日土曜日
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UMPC モノ

 GPD Pocket 3が届きました。


Indiegogoのクラウドファンディングに2021年11月に参加し、翌1月下旬に届きました。
Core i7-1195G7のUltimate版で、オプションのI/Oモジュールとスタイラスペンつき。クラファンの先行販売で$500引でした。結果、CPUスペックとSSD容量から考えるとかなり割安でした。

モノは中国の深圳から直送ではなく、大阪の拠点を経由させて佐川急便で届く形でした。国内のPCショップでも取扱が始まるようですので、まとめて日本に輸入してから国内発送する物流経路の準備ができていた模様です。
目次

外観

全体

見た目は直方体なフォルムです。筐体はアルミでできておりプラスチッキーではないつくりは高評価。その代わりに重量が740g程度(公称725g)とUMPCにしては若干重め。それでもノートPCとしては十分に軽い部類に入ります。
先代と同様、アルミの表面仕上げの品質はMacBookっぽい感触でチリ合わせの寸法も正確で品質が高いです。

かなりコンパクトです。

ディスプレイは180度回転してタブレットモードになるようなヒンジなので、ヒンジ周りのデザインがどうしても無骨になりますがガタつきはありません。あくまでもクラファンのPCなので、到着するまでヒンジの出来栄えを心配していましたがこれには安心しました。

GPD Pocket 2と比較

前世代のGPD Pocket 2と比べてみます。
GPD Pocket 2はMacBook Airをミニチュアにしたようなデザインでしたが、GPD Pocket 3は開発者向けガジェットの風貌に変わりました。
写真で正確なボディカラーを伝えるのは難しいのですが、色の雰囲気はこの写真が近いです。こげ茶系のガンメタのような仕上がりです。公式写真やネットショップではブラックボディのような商品写真ですが実際はこんな感じの色です。現在出回っている商品写真は、クラファンの時に公開されたCGっぽい写真なので、量産計画の際に塗装が変更されたのではないかと思います。塗装は製造コストに影響がありますし。
まぁ、真っ黒ボディのPCは指紋が目立つのでこれぐらいの色で良いと思います。

画面サイズと表示の大きさの比較。解像度はどちらも1920 x 1200。
GPD Pocket 2    7インチ    323PPI
GPD Pocket 3    8インチ    284PPI

画面サイズが1インチアップして表示が13%ほど大きくなりました。これまでGPD Pocket 2では字が小さすぎると感じる場合があり、文字の大きさをコントロールパネルで15%ほどスケールアップさせていました。ということは、私にとっては約1割画面が大きくなるGPD Pocket 3では文字拡大をしなくても良くなるということで、結局PCとして使うには8インチぐらいが実用的な最小サイズではないかと。

左が先代のGPD Pocket 2で右がGPD Pocket 3。
GPD Pocket 3の方が液晶パネルのインチアップ分に加えて、回転ヒンジ分だけ大きいです。

わかりやすいように重ねるとこんな感じ。

しかし、GPD Pocket 3が大きすぎるということはなく、これでも十分小さいです。
さらにiPhone 12を重ねてみます。

GPD Pocket 3は先代のPocket 2と比べ厚みが増えました。
背面のイーサネットコネクタとシリアルポート分の厚みが必要なためです。近年は無線LANのみで有線LANコネクタが無いノートPCが薄型化していますが、こう見るとGPD Pocket 3は開発色の強いマシンだということがわかります。
エレガントにまとめていたGPD Pocket 2とは見た目から明らかに違いますね。

詳細の特徴

フットプリントサイズが分かりやすいように、A4のコピー用紙の上にGPD Pocket 3を置いてみました。
A4用紙の半分以下のサイズです。A5ノートPCと思えば良さそうです。


今回、Pocketシリーズに初めてトラックパッドが搭載されました。
3本までのマルチタッチが可能です。2本指でスクロールやピンチアウトができるため、今までスティック系のポインティングデバイスしかなかった先代のPocket 2と先々代のPocket 1を使い続けている経験から言わせてもらうとこの改善はものすごく良く、特にスクロールが便利になりました。
先代も画面のマルチタッチでタッチスクロールやピンチアウトに対応はできましたが、実際の使用感としてはキーボードからほとんと手を離さずに操作できるタッチパッドがあると使いやすさが全く違います。

クラファンの途中で、トラックパッドの素材を樹脂からガラスに変更すると発表がありました。しかし現在のトラックパッドの質感は硬いですけどガラスでは無いような。マットでサラッとした肌触りです。


左側にはクリックボタン。ThinkPadっぽいデザインです。
3ボタン式で、いわゆるマウスの真ん中ボタンも使えます。ということはUNIX端末として使うにもGood。こういうところも開発向き。
トラックパッドとマウスボタンはキーボード上辺についているので、両手で本体を持ったままマウス操作が可能です。電車の中で立って操作することはないけれど、データセンター内でちょっとコンソール端末を使いたい時には役に立ちそうですし、私の場合は車にPCを繋げて整備するときに重宝します。
写真右下側の丸いボタンは指紋リーダーを兼ねている電源ボタン。二つの機能を兼用しているので、スリープ復帰時のログインの時に操作に便利です。


底面は排気口があり、ファンが見えます。GPDは旧機種から底面の美しさも意識している点は好感が持てます。
小さなネジ穴が6箇所あるのみです。海外の分解レビューではネジを外してこの裏ブタを外すとすぐにSSDとバッテリー交換ができそうなつくりだったのもクラファン出資を決めた理由です。
ひとつ気になるになる点は、ゴム足の高さが揃っておらず3点支持になってしまいます。これは要改善。これが原因でキーを打つときに少しぐらつく時があるので後で対策します。

入出力

各コネクタ

側面を見てみます。
右サイドはUSBとイヤホン/マイクジャック
USBはUSB3.2 Gen2に対応。
外付けマイクやイヤホンはこのジャックで有線接続か、Bluetoothですね。また、GPD Pocket 3本体にも内蔵マイクとスピーカーがついているので本体だけで会話をすることも可能です。さらに画面にWebカメラがついた点が先代からの大きな進化。昨今、Stay Homeでweb会議がすっかり定着してしまったこのご時世に合っている仕様です。

左サイドには充電口を兼ねるThunderbolt 4とHDMI。Core i7版はThunderbolt 4ですがPentium N6000版はUSB Type-Cのみです。
側面の小さな切り欠き穴はスピーカー穴。
スペック上、スピーカーアンプモジュールは音質が良いものを採用しているとのことですが、肝心のスピーカー穴の形状が影響してか音は小型ラジオっぽい感じでiPadには及びません。
筐体に開けるスピーカー穴で良い音を出すには、例えば穴の断面を斜めにするとか設計製造ノウハウが求められるところなのです。大手家電メーカーと小規模メーカーの違いはこういう細かいところに出てきます。

I/Oモジュール

今回、フルセットで導入したので背面I/Fモジュールも付属しています。

背面モジュールはネジ2本を外して脱着。


PC側のコネクタ部。
上段に並んでいる12個の接点はシリアルポート用。下の16接点はUSB, HDMIモジュール用。すなわちシリアルポートはマザーボードのCOMポート直出しです。USB-COM変換では無いのです。これは開発端末として評価して良いところ。古い機械制御用のソフトウェアとかも動きそうですね。
GPDによると、ピンアサインの仕様は非公開だそうです。NDA締結した3rd Partyでないとモジュールの仕様は入手できないと思われます。

交換可能なI/Oモジュール。
左から順に、USBモジュール、KVM、シリアルポートです。USBは本体側面ポートと異なり、USB 3.2 Gen1です(本体側面USBはUSB3.2 Gen2)。

GPDはクラファンの最中に、将来は3rd Paryがモジュールを開発できるようにCADデータや内部仕様を公表すると言っていました。さらにmicroSDカードモジュールの設計に着手しているそうです。またLTEモジュールが欲しいという意見もたくさんありましたが、中国の無線の認可取得に半年かかるので難しいとのこと。そうですね、電波認証を取るのためには時間だけでなく認定機関に依頼するお金もかかるので簡単ではなさそうです。


反対側のPC接点側から見てみます。左がシリアルポートのモジュールで、使用している接点がUSBモジュールと異なりCOMポート専用であることがわかります。

KVMモジュールを装着しました。KVMとしての用途のほかにHDMIキャプチャとしても使用できるためです。サーバやカーオーディオビジュアルのメンテナンスに使用できるのと、USBカメラモードに非対応の高画質デジカメをHDMIで繋げてWeb会議をしたいためです。OBSを使うとHDMIインプットをWebカメラとして使えるらしいので今度やってみます。
背面のイーサネットコネクタはノートPCに似つかわしくない金属ケースの立派なもので、アクセスランプもついています。ネットワークエンジニア向けですね。コネクタ部分にはステータスLEDがデスクトップ機と同様にちゃんと2個ついています。説明書に記載がないのでLEDランプの動作仕様の確認は必要ですが、一般常識としてはそれぞれのLEDはリンク速度を示すLEDとリンク状態を示すLEDであるはず。

その他の背面の四角い穴は冷却ファン用の通気口。ここからマザーボード上のヒートシンクが見えます。CPUの高性能化やNVMe対応で熱源が増えたため、吸排気口は先代よりも大きいです。

使用してみます

保護フィルム

使い始める前に、PDA工房の9H高硬度光沢フィルムを貼りました。
パネルはゴリラガラスだそうなので保護フィルムは不要かもしれませんが、スタイラスペンで突っつくので保護してみます。

保護フィルムの寸法ははカメラレンズ部分がわずかにずれますが実用上は問題なし。
貼った後の画面表示やタッチ感は特に問題ないです。

初回起動とセットアップ

電源を入れます。初回起動のセットアップが始まりました。
中国語で起動するので、直後に表示される言語設定で日本語を選べば、この後は日本語でセットアップが進みました。
海外のビューを見ると英語で起動しているので、仕向地で英語か中国語か起動言語が違うかもしれません。

プリインストールはWindows 10ですが、すでに2022年なのでセットアップの途中でWindows 11へアップグレードを勧める画面が出てきます。
GPD Pocket 3をWindows 11にアップデートしたい場合は注意が必要です。
Win 11へアップグレードをしたい場合は、初回起動時のこの画面で「アップデートする」を必ず選ぶ必要があります。
ここでアップグレードを選択せずに「アップグレードを拒否する」を選択してしまうと、後日Windows Updateを起動してもWin 11アップグレードインストールのボタンが表示されません。アップグレードを拒否しちゃったんだから当然そうなります。

また、この画面でWindows 11へのアップグレードを選択してもすぐにアップグレードされることはなく、後でWindows UpdateにてWin 11へアップデートを開始するボタンを押すまではアップグレードを保留できます。そこで、とりあえずこの画面ではWin 11アップグレードを選択しておいて、あとで必要な時が来たらWindows UpdateでWin 11アップデートをすれば良いです。

(追記)初期設定でWin 11アップグレードを拒否してしまった人は、こちらのWindows 11 Installation Assistantを使用すると、Windows 11へアップグレードができるように復活できます。


初回起動後、WIndows UpdateにてWin 11アップグレードボタンを押して、さらにその他の更新プログラムも入れて最新状態にしました。


システムの状況

以上で初期セットアップが完了しました。Microsoftアカウントをセットアップしたので、壁紙が自分のものに自動で差し替えられましたが、そのほかはこれが起動直後の画面です。
デスクトップにはEdgeとバンドルされているHDMI入力アプリのアイコンがあるのみで、余計なソフトが極力入っていない点は評価。

起動直後のSSDの状況。素の状態で52GBほどディスクが使用されています。
1TBのNVMe SSDが内蔵されていて、パーティションが初めから切られています。
メンテナンスの利便性を考えると、パーティションを切るというのも一理ありそうです。

リカバリパーティションからWindowsを再インストールする際は、インストーラがCドライブをイニシャライズしてしまいますが、Dドライブのパーティションのデータは残ります。
また何かの不具合でディスク修復ツールが走った場合は、パーティションの容量が小さい方が修復作業が早く終わるのでこれぐらいで良いかも。
まぁここはパーティション管理ソフトウェアを使えば容量の配分は後でも変更できるので、しばらくはこの状態で使います。

その他の設定は後でじっくり行うことにします。先代のGPD Pocket 2では規格外のSSL証明書を発行していたことでGoogleにBANされた中国系の認証局WoSignとStartComの署名が入っていたので削除した経験があります。そのようなことも含めて細かい設定は後でやることにします。

外付けモニタで4K HDRが可能

試しにThunderboltポートから4K HDRモニタを接続してみました。
先代のGPD Pocketよりも明らかにサクサク動作するし、ディスク1TB、RAM 16GBあるのでBletooth外付けキーボードとマウスがあれば、Thunderboltケーブル一本で給電しながらモニタを繋げてデスクトップのように使用できます。こうすればいつでも仕事の途中ですぐに外に持ち出せるマシンにできそうなので、これまでのUMPCとは使い方が変わるかも。

4Kモニタに表示させているディスプレイ設定ウインドウの拡大写真です。HDRが使えます。
iPhoneでHDR撮影が個人でも簡単にできる時代なので、内蔵グラフィックとI/Fがここまで対応できているのは良いことです。


タブレットモード

画面をくるっと回転させてタブレットモードにしてみます。
トランスフォーマーのロボットのようなギミックで、Yogaタイプの開き方と異なりキーボードが隠れるように画面が回転します。キーボードが隠れるタイプは、ヒンジの寸法が大きくなりがちですが、タブレットモードでテーブルに置いて使用する時、出先のカフェテーブルが多少汚れていたり金属製だったりしてもキーボードに傷がつかないというメリットがあります。

ヒンジが折れるんじゃないかという心配の声がありますけど、クラファンでのGPDによる説明によれば、ロボットを使い試作機で10万回の開閉試験をクリアした設計なので大丈夫アルヨとのことです。回転しない方向に無理に力をかけるとか事故がない限りは大丈夫そうです。実際ヒンジは好きな角度で安定して固定できるほどしっかりしています。

ということで、6601アルミニウム筐体と相まってタブレットモードでも安心感があります。

入力に使用するスタイラスは筆圧4096段階のSurface互換ペンなので、手描き文字入力などWindows 11標準のペン入力機能が使用できます。

そのほかにタブレットモードのハードウェアの機能として、GPD Pocket 3には重力センサーが内蔵されています。そのためタブレットPCと同様に縦横の持ち方を変えると、画面も追従して自動で回転します。クラファン開始当時はこの自動回転の機能は無かったのですが、出資者の熱い要望により機能追加されました。それまでのGPDの見解は、Windowsは画面回転時の画面レイアウト変更機能が貧弱でアイコン位置や画面が乱れるため重力センサーをやめて回転は手動にしたというものでした。確かにWindowsの現状は事実なのですが、使ってみると自動回転してくれた方がまだ良い(マシ?)であることは多いので、出資者の要望が受け入れられて自動回転が実装されたことはよかったと考えています。

それにしてもWindowsの画面回転時のウインドウやアイコンレイアウトの調整機能はiPadの挙動に比べると貧弱です。なお、自動回転はWindowsの画面設定で無効にできるので好みで調整可能です。


まとめ

全体としてこれまでのPocketシリーズに比べて開発マシン寄りにコンセプトが変更されていますが、第一印象の完成度は従来のPocket 1やPocket 2よりもかなり良くなり、仕事に使える超小型PCへと進化しています。
筐体は少し大きくなりましたが、CPU, RAM, SSD, 外部コネクタといった内部の基本性能が10万円台後半のA4ノートPCに遜色ないという点は大きく、これまでのUMPCでありがちだった低スペックな環境をどう活かすかを考えたりOS設定をチューニングする必要が無いというメリットが想像以上に大きいですね。