前回はとりあえず縮退運転でファンを止めるという方法を確立しましたが、やはりフルスペックで運転したいのでファンを静かなものに交換することにしました。
本体を開けてみます。ゴム脚を外すとプラスネジが現れるので、そのネジを外すだけで分解できます。
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冷却ファンと空気の流れ |
写真のようにブロワファンがひとつ入っており、東芝製のチューナーチップに向けて風を当てるようになっていました。
ファンはノートPCなど狭い筐体にに使用されるもので、通常であればファンの側面から排出された気流を筐体の外部へ吐き出すようにレイアウトするものですが、このチューナーの場合はチューナーチップへ風を当てるような配置でした。チップ自体はフル動作すると60℃程度まで温度上昇し、70℃強ぐらいまでは通常動作できるものなので、空気が滞留していなければヒートシンク無しの空冷でも大丈夫なようです。そこで風を当てて熱が滞留しないようにするという設計のようです。
また、ファン本体は基盤上に密着されていなかったので基盤を冷やす用途ではないようで、やはりチューナーチップへ風を当てるという目的のようです。
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近接で計測 |
音量は近接で58.6 dB(A)もあります。ファンのスペックシートに書いている音量は無音室でファンから1m離れたところにマイクを置いた計測値なのですが、自宅の場合はそのような計測は無理なので環境音の影響を避けるよう近接で計測しました。これを参考値としてこれからどれぐらい静かにできるか試してみます。
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ファンの拡大写真 |
ファンの型番はADDA製AB3505HB-GA0でした。型番にHBとあるのは同シリーズでも回転数高めで排出気流も多めのスペックのもので、当然のことながら音も大きいです。スペックシートによると音量は35.0 dB(A)もあります。なお、スペックシート上のファン音量はファンから1メートル離れたところにマイクを置いて計測された値であるので、ファンのすぐそばで計測すると60 dB(A)程度になります。ADDAは昔からうるさいファンという印象があります。昔のグラフィックスチップにくっついていたような懐かしい形のファンですね。
PX-Q3U4のファンを換装する事例をネットで見かけますが、どれも通常型の35mmファンに交換する事例が多いです。しかしそのような通常ファンでは初めの写真のように側面から風を出して東芝チップへ風を当てることができません。そこで真面目に上部吸気からの側面排気する同形状のブロワ型ファンを探してみました。
ノートパソコン用の部品などを探した結果、良いものが見つかったのでこんな感じになりました。
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換装したファン |
ファンに刻印されている矢印の通り、サイドフローするブロワ型ファンです。ファンの羽の形状が元のファンと全く異なります。元々ついていたADDAのファンは一般的なファンと同じプロペラ羽の形状で側面に穴が空いていた程度の形状でしたが、こちらはシロッコ型の羽根形状で側面に気流を積極的に排出する設計になっています。このため効率が良くスペックシートで比較すると風量は元のADDAファン比で5%低下する程度で性能は同等でありながら音量が65%低下しました。音量が65%低下というのはスペックシート上で9 db(A)低下するということです。すなわちこちらの新しいファンを3個同時に稼働させた音量と元のADDAファン1個の音量がほぼ同じ、ということになります。
ファン筐体の形状は一般的な35mmブロワファンでしたので、ファンを固定するピン部品は元のものをそのまま流用して固定できました。
今回換装したファンの型番はDeltaのBFB03505LA-C。元のファンとスペックを比較します。
(換装前) ADDA AB3505HB-GA0 |
(換装後) Delta BFB03505LA-C |
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定格 | 5.0V | 5.0V |
電流 | 0.145A | 0.09A |
CFM | 1.4 | 1.34 |
RPM | 7000 | 5500 |
dB(A) | 35.0 | 24.0 |
元のADDAファンは7000 rpmに対してDeltaは5500 rpmなので音量は35 dBから24 dBへ低下。かなり音量が落ちるのにもかかわらず、排出する空気量CFMは5%しか低下しません。非常に効率よく風を送り出します。
今回はショップに在庫がなかったのでマルツで類型のBFB03505LA-CR00を購入。末尾にR00が付いている型は3線タイプで、ファンの停止故障判定に使う青いリード線が付いています。この3本目の線は未使用でもファンは通常回転します。
本体基盤側のファンの電源コネクタはJST 1.25mmとかMolex PicoBlade 1.25 mmとか呼ばれる形状なので、Amazonで適当にJST 1.25mmで調べると出てくる配線付きコネクタを使います。とても小さなコネクタなのでピン部品をかしめて自作することは諦めて既製品を使うことにしました。
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ピンを抜き取って左右交換している様子 |
購入したコネクタ付き線は+ -の色が逆だったので、ピンを抜いて+ -を交換しました。プラスチックのコネクタ側の爪を持ち上げると写真のようにピンが抜けます。
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仮組してテスト |
仮組して音量を計測。49.7 dB(A)でした。元のファンと比較してスペック通り約9dB低下しました。これであればかなり静かでファン付きのBlu-rayレコーダーぐらいの音量です。風量は手元に風量計はないのですが体感的には以前と大きく変わらずよく風が出ています。
この後、元通りに組み立て直して使用しています。
【追記】後日、さらに改造してファンに温度制御を追加することでさらなる静音化が完成しました。

チューナー PX-Q3U4に温度制御式ファンを入れて静音化が完成
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