自宅ESXiに適したSSDを選んでみる

2022-10-01
  • B!

VMware

 通称「おうちクラウド」でESXiを自宅運転している。

おうちクラウド | NUCを超えるコンパクトサーバマシンならばこれを選べ!
このマシンを組み立てるときにストレージにどのようなパーツを選ぶべきか?と選択で重要視したことは、コスト、静音、サーバの安定運用というとこと。

結論として、ウエスタンデジタルの青のSATA M.2にしました。
もくじ

おうちクラウドESXiに求めるストレージ要件とは

大前提として、エンタープライズ用ではないということと自宅用なので要件は色々と割り切りつつも、譲れない点を次のようにリスト化。
  • 開発でいろいろなOSを試したいので、容量は2TB
  • 静音PCにしたいのでSSD
  • 同じくPCファンも静音にしたいので発熱は少なめ
  • ESXiの標準ドライバで動作し、カスタムインストール作業が不要なこと
  • 耐久性は10年ぐらい持って欲しい
  • 適正価格
これらを満たすストレージを探してみた。

結果から逆線して考察してみる

先に結論を書いてしまう。
  • 採用したストレージはWD BlueのM.2 SATA 2TB
  • SATA I/FなのでESXiとの互換性は問題ない
  • 耐久性のスペック175万時間・TBW500(2TB)で、実測ではこれで7年は持ちそう
ざっとこのような状況。実際のSSDの寿命を考えると価格、性能、耐久性のバランスはそこそこ良いと感じる。WD Blueは一般用途用だが自宅の開発用ESXiであれば十分であろう。

I/Fについて

M.2 SSDにはSATAとNVMeの2種類の接続方法がある。スピード重視で選択するのであればNVMeなのだが、ESXiで安定運用を考えた場合は選択に注意が必要。ESXiではSATAのストレージは大体動くが、NVMeはすんなり動く場合や追加ドライバをカスタムインストールしないと動作しないものなどまちまちだから。

ESXiは業務用サーバの運転を想定しているため、安定動作が確認できているデバイスのドライバしか入っていない。SATAの場合、マザーボード上のインテルチップセットのSATAコントローラーであればほぼ間違いなくESXiでそのまま動作する。

問題はNVMe。NVMeはPCIeに直接接続してI/Fを高速化するストレージであるので、ストレージコントローラーはマザーボード上ではなくSSD内部に搭載されている。つまり、SSD上に搭載されているストレージコントローラー用のドライバがESXiに無いと動作しない。これがESXiでNVMeが動作したりしなかったりする原因。

それでもNVMeにチャレンジしたい人は

私はESXi上でNASも動かしているので、カスタムドライバを入れてまで運用するのは否定派でESXiの標準インストールで動作やアップグレードがサクサクできる環境を推奨している。やりたいことはESXi上のゲストOSでの作業であって、ESXiのカスタマイズや運用に時間をかけたく無いのでね。

それでもNVMeにチャレンジしたい人に勧めたいのは、標準インストールでも動作するNVMeを選ぶことである。適当に動作確認できたNVMe SSDを選ぶと痛い目にあう。昨今の有名な例はvSphere(ESXi) v6系で動作していたSAMSUNGのNVMe SSDがv7から動作しなくなったというもの。v6.7→v7へアップグレードしたら再起動しなくなって阿鼻叫喚したユーザーが多数とか。もちろんドライバを入れるカスタムインストールをすれば動くが、慎重にSSDの機種を選びたい。

互換性の良さでおすすめはインテル製のNVMe。インテル製はNIC, チップセットなど全体的にESXiが標準サポートしているチップが多い。しかし下のようなVMware公式の互換性リストを確認しても民生品のNVMeはリストに無いので、結局は動くかどうかはチャレンジ。

Intel NVMe SSDとESXiの公式互換パーツリスト

現在、インテル製NVMeはソリダイムへ事業移管している。ソリダイムのNVMeは動作成功の報告が多いようだ。

発熱について

NVMeは早いですがヒートシンクが必要なほど発熱するので、小型PCに入れる場合は注意が必要。いきなり壊れることはないけれど、放熱が不十分だとサーマルスロットリングの保護機能が働いてアクセス速度が1/3ぐらいまで落ちることもある。静音サーバを目指すならばSATAの方がおすすめ。

耐久性

これは一番気になるところ。いきなりストレージが壊れると復旧作業が面倒なのでできれば壊れにくいストレージがいい。経験則から言うと、 SSDのスペックが500TBW (2TB時)で7年ぐらい持つかなという感じ。


TBWとはSSDに何TBまで上書きでデータを書き込めるかという目安の数字。SSDには書き込み回数に限度があるためだ。例えば500TBWとは500TBまで書き込めるということ。ただしTBW値はとあるテスト条件で書き込んだ場合の数字なので、使用環境によっては耐久性は変わる。
なお、同じラインナップの2TB版SSDで500TBWの機種の場合、同系機種で容量が半分の1TB版のSSDでは半分の250TBWになる。理由はTBWとは最大書き込みデータ量のスペックなので、ストレージ本体の容量が半分になるとTBW値も半分になるというわけ。

一般的にはNVMeの方がTBWが低めである。耐久性をより重視するのであればSATAのWD Redかな。Redは1,000 TBW (2TB時)を越えるので、今使用しているWB Blueの2倍は持つであろう。WD RedがサーバやNAS用として販売されているのはちゃんとした理由があり耐久性が違う。もちろん、業務用サーバのSSDはTBWがさらに一桁上だったりする。
NVMeの場合、インテルの660pが400TBW (2TB)、760pが576TBW (2TB)。安いNVMeでESXiを運用する場合は4, 5年目くらい経ったら寿命に注意した方がよいだろう。

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